AIワークフロー
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3D×AIハイブリッドワークフロー — 幾何の正確さと、AIの表現力
AIの雰囲気参考図は、どうやって4Kの建築パースになるのか。3ds Max・AIレンダリング・後期補正を組み合わせた、Enbloom Studio の三段構成ワークフローを実例とともに紹介します。

前回の記事では、AIレンダリングとは何か、そしてAIの画像がそのままでは「完成」しないことを書きました。今回はその続きとして、私たちが実際にどのような構成でAIと3Dを組み合わせているのか — Enbloom Studio のハイブリッドワークフローを、実例とともに紹介します。
三段構成のワークフロー
私たちのAI案件の基本構成は、大きく三つの工程に分かれます。
第一に、スタディ。3ds Max でボリュームモデルを組み、AIによる雰囲気参考図を高速に生成しながら、光・素材・空間の方向性を検討します。この段階の目的は「正解を作ること」ではなく、「議論できる選択肢を素早く並べること」です。
第二に、再構築。方向性が定まったら、参考図から光と素材の意図を読み取り、正確な建築モデルとして組み直します。AIの画像には細部の破綻や図面との不整合が必ず含まれるため、ここで建築としての合理性 — 構造、スケール、素材の納まり — を一つずつ回復させていきます。
第三に、仕上げ。レンダリングと後期補正を重ね、4K解像度の完成画像に仕上げます。目標は明確で、「AIの参考図よりも美しい一枚にすること」。参考図は出発点であって、到達点ではありません。
幾何の正確さは3Dが、表現の速度はAIが、細部の判断は人の手が担う。三者の役割を混ぜないことが、このワークフローの要点です。
実例 1:Atrium Library — 破綻した一枚を、建築に戻す
図書館・文化施設のスタディ「Atrium Library」では、初期のAI参考図に印象的な螺旋階段と木質格子天井が現れました。ただし、その一枚をよく見ると、階段の踏面は途中で消え、格子のスパンは不均一で、構造としては成立していない。
そこで 3ds Max 上で空間全体を正確にモデリングし直し、階段の幾何、天井格子のモジュール、採光の角度を建築として再定義しました。AIの一枚が持っていた「光と本のための吹き抜け」という空気感は保ちながら、細部はすべて合理的に組み直す。完成画像は、参考図の雰囲気と、図面に耐える正確さの両方を備えています。
実例 2:Komorebi — 緑量という、AIが得意で3Dが苦手なもの
都市の商業複合施設「Komorebi」では、逆の関係が生きました。垂直緑化の膨大な植栽量は、従来のCGでは一枚ごとに大きなコストがかかる要素です。AIはこの「緑の量感」の表現を得意とします。
一方で、街区のスケール、階高、柱廊のリズムといった建築の骨格は、AIに任せると必ず揺らぎます。そこでボリュームと動線は 3ds Max で固定し、植栽の質感と光の空気感はAIの表現力を活かし、最後に Photoshop で境界を丁寧に馴染ませる。それぞれの得意分野だけを使う構成です。
なぜ「どんな参考図でも」受けられるのか
このワークフローの実務上の意味は、シンプルです。クライアントがどんな参考イメージを持ってきても — それがAIの粗い一枚でも、雑誌の切り抜きでも、手描きのスケッチでも — 最終的に4Kの完成画像まで持っていける、ということです。
これは、モデリング・レンダリング・後期補正という伝統技術の蓄積があって初めて成立します。AIツールの操作だけなら、習得は難しくありません。しかし「AIの一枚を、それより美しい建築パースに作り直す」工程は、10年以上の制作経験がなければ品質を保証できない。私たちがAIと伝統技術の両輪にこだわる理由は、ここにあります。
速度の話を、正直に
ハイブリッドワークフローは、すべての案件で従来より速いわけではありません。最終品質の基準は従来と同じか、それ以上に置いているためです。
速くなるのは、検討の往復です。「この方向で良いか」の確認が数分単位になることで、手戻りが減り、確定後の制作に集中できる。結果として、全体の納期と精度の両方が改善する — これが実感に近い言い方です。
AIで「安く速く」ではなく、AIで「迷いを減らし、仕上げに時間を使う」。私たちのハイブリッドワークフローは、そのための構成です。
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